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●抜歯後にのんだ抗生物質で劇症肝炎
 
 梅雨。東京なんかとは違って、青森の梅雨は寒いですね。花冷えならぬ梅雨冷え。冬にはカゼをひかなかったのに、今頃ひいたりして…。カゼをひいてお医者さんにかかると抗生物質を処方されることも多いですよね。今回はそんなあなたへのメッセージです。
 
 今年の2月にくすりの副作用に関するニュースが大きくマスコミをにぎわしました。ご存知ない方のために、簡単におさらいしてみましょう。
  • 過去3年間にフロモックスという抗生物質を服用した人のうち、3人が劇症肝炎になり、そのうち1人は亡くなっていた。
  • この人は抜歯後の感染予防として歯科医院から処方されたフロモックスを3日間服用。服用終了の約2週間後に黄疸や全身倦怠感などが現れ、入院して治療を受けたが、服用終了の約40日後に劇症肝炎と敗血症で死亡した。
  • フロモックスは感染症治療薬として幅広く使われており、年間の使用者は推計で約2,000万人である。
     
●フロモックスはイヤ!!
 
 ショウ子さんは心配性。くすりに関するニュースを見るたびに、不安になります。
 「ねえねえ、きょうのこのフロモックスって、昨日のニュースに出てたやつでしょ? 私、あんな恐いくすりはのみたくないわよ。」
まあねえ、その気持ち、わからなくはないけれど、ショウ子さんは心配しすぎです。だって、ショウ子さんはこれまでに何度もフロモックスをのんだし、一度も副作用は起していないのですから。劇症肝炎になんかなりませんって。副作用の三分類を知っている皆さんなら、その理由は想像できるでしょ?
 
フロモックスによる劇症肝炎はアレルギー
 
 前回ご紹介したアセトアミノフェンには肝臓毒性、つまり肝臓を壊す働きがありました。でも、今回のフロモックスにはそんな働きはありません。3年間で約6,000万人がこのくすりをのみ、そのうち、劇症肝炎を起したのは3人。どれだけ確率が低いかは計算しなくてもわかりますよね。こんな副作用はアレルギーなのです。難しく言うと「アレルギー性肝障害」。だから、ショウ子さんのようにフロモックスアレルギーでない人には、こんな副作用は起きないのです。
 では、アレルギーかどうかわからない人や初めてこのくすりをのむ人はどのように気をつけたらいいのでしょう。まず、フロモックスのような抗生物質で起こるアレルギー性肝障害の特徴を知ることです。
  • 発熱や発疹が見られることが多く、血液検査では白血球の一種(好酸球)が増えている
  • 服用から発症までの期間は1〜4週以内が多い
  • 投与終了後に発現することも少なくない
 ニュースで公開された症例のデータには、好酸球の値が書かれていませんでした。検査されていなかったのかもしれません。また、アレルギーに対する治療も行われていませんでした。ここから先は私の想像なのですが、この人が体調を崩したのはくすりをのんだ2週間後だったので、副作用だとは思いもしなかったのではないでしょうか。だから、2週間前にフロモックスをのんだということを医師に話さなかった、そのため、治療が遅れてしまったのではないか…。 お気の毒です。
 
●アレルギーの鉄則−初期症状を見逃すな!
 
 副作用の特徴を知ったら、次はその特徴に合わせた対策を講じましょう。アレルギー性肝障害への対策はたったひとつ、副作用の始まりを見逃すな、です。
 アレルギー性肝障害の始まりは発疹、じんましん、発熱、食欲不振、異常な疲れ、黄疸などです。このうち、初めは発熱と食欲不振だけしか現れなかったとしたら、かぜだろうと思って様子を見る人が多いのではないでしょうか。しかも、くすりをのんだのが何日も前だったりすると、そのくすりと現在の体調の変化を結び付けて考える人の方が少ないかもしれません。アレルギー性肝障害に早く気づくためには、その逆のことをすればいいのです。くすりをのんでから1か月以内にカゼをひいたかなと思ったり、湿疹や蕁麻疹が出たりしたら、とりあえず、副作用を疑うこと。市販薬で様子を見るなんて、もってのほかです。必ず受診しましょう。医師にはいつ、どんなくすりをのんだか話しましょう。軽症のうちに治療を始めることが肝心です。
 そんなことを言われても、くすりの名前なんか覚えてないよ、薬局がくれた説明書なんか捨てちゃったよ、とおっしゃるあなた。そんなあなたのためにあるのが「おくすり手帳」です。自分の体は自分しか守れないんですよ。そこんとこ、よろしく!!
  
2007年3月28日作成
「しるばにあっぷる」2007年6月号掲載
K.Asari
 

 
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