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ダイエットよりくすりをのんだ方が楽
 
 こんにちは〜。今日も寒いですね。こんな日はお鍋でも囲んで、熱燗でキュッと一杯…なんちゃって。
 あなたはどんなお鍋が好きですか?私はシンプルな水炊きが一番好き。白菜、水菜、ほうれん草、鱈、帆立、ツブ貝、シイタケ、舞茸、エノキ茸、お豆腐…。参った。仕事中だというのに、お腹が鳴りそう。
 今日の主役は「お鍋はすき焼きに限る」と言うクミコさん。悪玉コレステロールが高くて、三か月前からアトルバスタチンというくすりをのんでいます。
「悪玉コレステロールは下がったけど、今度は血糖値が高いんだって。おかしいなあ。食べる量は変わってないのに。」
「来月までダイエットして来なさいって。それでも、血糖値が下がってなかったら、くすりを出すそうよ。」
「やだなあ、ダイエット。食べものをがまんしたり、運動したり。さっさとくすりを出してくれれば楽なのに。」
 おやおや、クミコさんはハナからやる気がないみたい。ホントにそれでいいの?
 
●スタチン薬と糖尿病
 
 アトルバスタチンのような○○スタチンという名前のくすりは、まとめて「スタチン薬」と呼ばれています。コレステロール(特に悪玉コレステロール)を下げる効果が強く、世界中でたくさんの人に使われています。きっと、あなたの周りにもスタチン薬のお世話になっている人がいるはず。そんな優れモノのスタチン薬ですが、完璧なものは存在しないというのがこの世の真実でして、スタチン薬だって例外ではありません。
 この頃、「スタチン薬は糖尿病を引き起こすようだ」という話題を目にすることが多くなりました。もしかしたら、クミコさんの血糖値が高くなったのはスタチン薬のせいかもしれない…薬剤師は心配になりました。
 研究データによると、程度の差はあるものの、どのスタチン薬でも、血糖値上昇が起きているようです。しかし、なぜ、そのようなことが起こるのか、詳しいことはまだ分かっていません。
  • スタチン薬はインスリンの働きを悪くするようだ。インスリンは血液中のブドウ糖を細胞内に取り込む働きをする。この時、細胞表面にあるブドウ糖の入口にスタチン薬が影響を及ぼすために、細胞内にブドウ糖が入りにくくなる。結果的に、ブドウ糖は血液中に留まり、血糖値が高くなるのではないか。
  • スタチン薬はインスリンの分泌を邪魔しているのかもしれない。
 このようなメカニズムが考えられ、研究されているところですが、まだ、仮説の段階です。対処法を考えるためにも、早くメカニズムを解明してほしいものですね。何はともあれ、副作用の三分類において、この副作用がアレルギーや薬物毒性でないことは確かなようです。
 ということは、いつ誰に起きてもおかしくないわけですね。従って、スタチン薬をのんでいる人は、定期的に血糖値を調べてもらう必要があります。そして、スタチン薬服用中に血糖値が急上昇したら、いったん、スタチン薬を止めてもらいましょう。それで、血糖値が元に戻れば、副作用だったということがはっきりします。
 クミコさんの場合も、薬剤師から医師に連絡して、いったんスタチン薬を休んでみることになりました。
 
●くすりよりダイエット
 
 さて、そうなると、もともと糖尿病だった人はスタチン薬をのんではいけないのでしょうか。スタチン薬のせいで、糖尿病が悪化しては困ります。
 糖尿病や脂質異常症(※)は今すぐ命にかかわるわけではありませんし、痛くもかゆくもありません。けれど、将来、心血管イベント(脳卒中や心筋梗塞)を引き起こす可能性が高いということは、皆さん、ご存知ですよね。だから、正常値を維持しないといけない、メタボはいけない…という話になるわけです。
※ 脂質異常症…以前は高脂血症と呼ばれていたが、善玉コレステロールが低いのも良くないことが分かってから、脂質異常症と呼ぶようになった。コレステロール総量が多いタイプ、悪玉コレステロールが多いタイプ、善玉コレステロールが少ないタイプ、中性脂肪が多いタイプに分類される。
 また、リスクが一つしかない人より、複数のリスクを抱えている人の方が、心血管イベントを引き起こす確率が高くなります。複数のリスクを抱えている人は、この副作用を恐れてくすりをのまないことよりも、将来の心血管イベントの方が怖い。まだ研究中とはいえ、今のところ、そのように結論付けられています。
 でも、でも…皆さん、リスクは自分で減らすことができますよ。クミコさんのような「ダイエットよりくすりの方が楽」という考え方について、皆さんはどう思いますか。やるべきことをやらないで安易にくすりに頼っていると、それだけ副作用のリスクにさらされるわけですが…。
 禁煙・減塩・ダイエット。命を守る三種の神器です。一緒に頑張りましょうね。ダイエットするなら、すき焼きよりも、野菜たっぷりの水炊きの方がオススメですね!
 
2011年12月9日作成
「しるばにあっぷる」2012年2月号掲載
K.Asari
 

 
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